2008年11月7日金曜日

米大統領選の余韻短く、早くも実体経済悪化に視点


  [東京 6日 ロイター] 「CHANGE(変革)」を掲げた民主党のオバマ上院議員が米大統領選挙で歴史的な勝利をおさめた余韻は短く、5日の米ダウは大統領選挙翌日として過去最大の下げを記録した。

 4日は大統領選挙当日として過去最大の上昇を記録していただけに、材料出尽くしによる利益確定売りとも言えるが、日本や他のアジア市場にも売りは波及し軒並み大幅安となっている。

 マーケットの目は実体経済の悪化に再び向き始めている。10月のADP全米雇用報告によると、民間部門雇用者数が15万7000人減と予想以上の 減少となり、7日発表の10月米雇用統計に注目が集まっている。金融問題のあおりで雇用の悪化がニューヨークなどで進んでおり、クリスマス商戦など消費の 面での懸念が強い。金融不安はいったん落ち着いているが、「景気情勢の悪化が金融システムに負のフィードバックをもたらすことにも注意がいる」(クレ ディ・スイス証券チーフエコノミストの白川浩道氏)との指摘が出ている。

 投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティリティー(VIX)指数はピークの89.53ポイント(10月24日)から4日は47.73まで低下したが、5日は再び54.56まで上昇した。

 需給面でも11月半ばがヤマ場になる可能性があるという。ヘッジファンドの45日前解約ルールを年末にあてはめると11月15日が期限になる。新 光証券エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「株価の急落で売るに売れずフリーズ(凍結)していた解約売りが、いったん株価が戻ったことで出始める可能性 がある」と述べる。安値から米ダウは1000ドル、日経平均も約2000円反発しており、戻り売りも出やすくなっているという。

 15日に予定されている主要20カ国・地域(G20)による金融サミットで有効な具体策が打ち出されないようであれば売りの勢いが強まる可能性もある。

 ただ短期的には、再び「底なし沼」に落ち込むような株価急落にはならないとの見方が多い。各国政府が金融問題に対し流動性対策など積極的な政策を 打ち出しているほか、国内では年金など長期資金の買いが下値で入ることで安心感が出ているためだ。「とにかく恐慌や取り付け騒ぎは起こさないという各国政 府の断固たる姿勢は示されており市場に安心感を与えている」(ユナイテッド投信投資顧問シニアファンドマネージャーの高塚孝一氏)という。

 5日の東京市場では2009年3月期の連結営業利益が1兆円を割り込むとの一部報道が嫌気されトヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)が大幅下落しているが「業績悪化は想定済みであり織り込む形で株価も下落した。他の株に波及するような『ショック』にはならないだろう」(大手証券トレーダー)との見方が出るなど、業績悪化にもある程度の「耐性」は出来ている。

 こうした地合いの変化について、コスモ証券エクイティ部次長の中島肇氏は「ひもが伸びて大きく上げ下げするようなバンジー相場から、ひもは伸びないが上下するヨーヨーのような相場に変わるのではないか」との見方を示している。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)




やっぱり経済話はついていけてない....。

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